pit patternとは大腸表面にある上皮腺管開口部(pit)の集まりをひとつのパターンとして認識したものであるが,
実際には腺管開口部ばかりではないこともある.
したがって正しくは“表面微細構造”と表現するのがよいのであろうが,
これらもすべて含めて“pit pattern”という言葉で総称している.
pit pattern診断の礎は小坂1)による切除後の固定標本に対する実体顕微鏡観察に始まり,
病変により表面構造パターンが異なることが示された2)3).
これらの知見をもとに生体内での拡大観察の試みがなされ,
1993年にzoom式拡大内視鏡CF-200Z(オリンパス社製)の出現により生体内でも観察することが可能となった.
工藤ら4)~8)はzoom式拡大内視鏡を用いてpit patternと実体顕微鏡所見の整合性,
また病理組織像との精力的な対比研究を行い,一定の類似性,法則性をもって特徴的に所見を呈することを見い出し,
現在は工藤・鶴田分類(Fig. 1)が標準的に用いられ,pit pattern診断が確立された(Table 1).
実際のpit patternは,インジコカルミンやクリスタルバイオレット(ピオクタニン)などの色素を用いることで観察可能である.
また近年NBI(narrow band imaging)でもsurface patternとして腺管開口部を観察することが可能であるが,